中国はいま高度成長期で、ものすごい勢いで分譲住宅が建てられていますが、技術的に限界があるのでかなりの粗悪品が目立ちます。そういった技術的な制約があるなかで、完成度の高いものをつくるにはどうしたらいいかを考えました。デザインはなるべくシンプルに、高層タワー内部に卍型の耐震壁をつくることで立面の柱寸法をできるだけ細くしました。平面は27×27mの細い建物で、高さが40〜100m、街区の北側にいくほど高層棟を配置しています。北京の南北軸から25度振って配置し、東西南北すべての面に日照を確保するようにしました。
部屋の面積は75m2からメゾネットタイプの397m2まで数タイプあり、標準面積は160m2とかなり広くなっています。中国では住戸の内装はオーナーが自分で行うのが一般的ですが、今回はあらかじめ内装を施していることもあり、標準タイプの価格は日本円で約4000万円とかなり高価です。また、通常中国の分譲住宅は壁とゲートで自分の敷地を囲って

しまうのですが、ここではそれを造らず、誰でも入ってこられる街としての機能を重視しています。
1〜3階はもともと商業施設用途で、予想以上にさまざまな業種の店舗が入っています。単価は高めで、スターバックスコーヒーの値段は昼ごはん代より高いものの、おしゃれな雰囲気を味わうために高額を支払う都市生活者が増えているようです。『アーキテクチャル・レコード』誌の2006年中国住宅建築部門で最高賞を受賞しました。中国の現代建築は単に外観の形態を競い合うような、街に対しモニュメンタルなものが多いのです。そのなかで、シンプルなデザインとライフスタイルに対する提案とが、評価された大きな要因ではないかと思っています。
SOHO中国の張欣女史も、「建外SOHO」をつくってみて、こういうものが人々の購買力を刺激すると同時に、都市に貢献できるということを強く実感したようです。アジアだけでなくヨーロッパも同じですが、都市のなかでどのように人が住んでいくのかは新しい
