情報誌「ネルシス」 vol.7 2006

P-16 コリアンパワーが炸裂する新しいアートスポット「酒工場芸術区」
P-22 [インタビュー]艾未未――「北京は魅力のない都市だ」

P18-21
目次
北京の未来を担うCBD(中央ビジネス区)
新しい都市生活を提案するディベロッパー・SOHO中国の躍進
高級マンション「SOHO現代城」「建外SOHO」のディベロッパーとしてその名を知られた紅石社。現在は「SOHO中国」と社名変更し破竹の勢いで北京のCBD(中央ビジネス区)に高層ビルを建て続けている。2001年に、CBDに完成した「SOHO現代城」は、中国で初めてSOHO(Small Office、Home Office)というコンセプトを全面に打ち出した複合ビルだ。当時まだ不動産市場が成熟していなかった北京では大胆な試みだったが、1998年の販売当初から好調な売れ行きで話題となり、人々の潜在的購買力を実証した。設計は中国建築設計研究院で総建築師を務める1957年北京生まれの崔 (Cui Kai)。彼は中国建築家のなかで注目されているひとり。7.3万m2の敷地に、延べ面積48万m2。6つの住居棟(1385室)と4つのSOHOタイプのオフィス棟(512室)とがある。敷地内には中国人アーティストによるパブリックアートが多数置かれているのも特徴だ。
北京 SOHO現代城:北京市朝陽区建国路88号 建外SOHO:北京市朝陽区東三環中路39号
2001年にCBDに完成した「SOHO現代城」

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「SOHO現代城」にあるSOHO中国のオフィス。白を基調にしたギャラリー空間のようなエントランスホール。一躍時の人となったSOHO中国の社長夫妻、潘石屹(パン・シイ、Pan Shiyi)氏と張欣(チャン・シン、Zhang Xin)女史は、いまやチャイナドリームの典型になっている

SOHO中国の設計室。手前に「建外SOHO」のコンペに参加した3社の模型が展示されている

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日本流、超クールな空間「建外SOHO」
SOHO現代城」に続き2001年に着工した「建外SOHO」は、国営第一機械工場の跡地12万m2に建設された。オフィス棟、住居棟合わせて18棟、延べ面積80万m2。設計は、日本の建築家・山本理顕氏。低層階には、C+A(シーラカンス)、みかんぐみが参加。敷地内には、16本のストリートが走り、低層階の店舗は300棟。前衛的なプロジェクトとして北京でも大きな話題となった。購入者は三十〜四十代のベンチャー企業経営者が多いという。
 さらに今後も、韓国の建築家・承孝相(Seung H-sang)による「朝外SOHO」、オーストラリアの建築家、ピーター・デビッドソンによる「SOHO尚都」などが完成を控えている。
“北京に現れたクールな中国”と評された「建外SOHO」。高級志向の若者が集う

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「建外SOHO」[左上]住宅を兼ねているので守衛が警備している[左下]白く浮遊感漂うモデルルーム[右]歩行者道路とサンクンガーデンが立体的に交差する足元空間
北京「建外SOHO」を設計して 山本理顕氏(談)
中国はいま高度成長期で、ものすごい勢いで分譲住宅が建てられていますが、技術的に限界があるのでかなりの粗悪品が目立ちます。そういった技術的な制約があるなかで、完成度の高いものをつくるにはどうしたらいいかを考えました。デザインはなるべくシンプルに、高層タワー内部に卍型の耐震壁をつくることで立面の柱寸法をできるだけ細くしました。平面は27×27mの細い建物で、高さが40〜100m、街区の北側にいくほど高層棟を配置しています。北京の南北軸から25度振って配置し、東西南北すべての面に日照を確保するようにしました。
 部屋の面積は75m2からメゾネットタイプの397m2まで数タイプあり、標準面積は160m2とかなり広くなっています。中国では住戸の内装はオーナーが自分で行うのが一般的ですが、今回はあらかじめ内装を施していることもあり、標準タイプの価格は日本円で約4000万円とかなり高価です。また、通常中国の分譲住宅は壁とゲートで自分の敷地を囲って
しまうのですが、ここではそれを造らず、誰でも入ってこられる街としての機能を重視しています。
 1〜3階はもともと商業施設用途で、予想以上にさまざまな業種の店舗が入っています。単価は高めで、スターバックスコーヒーの値段は昼ごはん代より高いものの、おしゃれな雰囲気を味わうために高額を支払う都市生活者が増えているようです。『アーキテクチャル・レコード』誌の2006年中国住宅建築部門で最高賞を受賞しました。中国の現代建築は単に外観の形態を競い合うような、街に対しモニュメンタルなものが多いのです。そのなかで、シンプルなデザインとライフスタイルに対する提案とが、評価された大きな要因ではないかと思っています。
 SOHO中国の張欣女史も、「建外SOHO」をつくってみて、こういうものが人々の購買力を刺激すると同時に、都市に貢献できるということを強く実感したようです。アジアだけでなくヨーロッパも同じですが、都市のなかでどのように人が住んでいくのかは新しい

●山本理顕(やまもと・りけん)プロフィール
1945年北京生まれ。68年日本大学理工学部建築学科卒業。71年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了後、東京大学生産技術研究所原広司研究室研究生。73年(株)山本理顕設計工場設立。02年より工学院大学工学部建築学科教授。「埼玉県立大学」で日本芸術院賞、「公立はこだて未来大学」で日本建築学界作品賞受賞ほか。
テーマです。それぞれの国、都市がもつ独自の歴史やノウハウ、新しい技術、高齢化などの社会的要請を考えて、建築家がどう対応するかが大切です。

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